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アクリルガッシュに注意 [雑記]

さてアクリルガッシュって他のアクリル絵の具の不透明版という感じで、同じものだと思ってましたが思い込みのようです。
画材の研究者の方のツイッターで、初めて知ったのでホルベインの問い合わせフォームで確認してみました。
以下返信メールから抜粋。
なるほどこれは知らない人も多そうなので記事にしてみました。私は木彫りの彩色に一部使っていました。(故人からのもらいもの)耐久性を求めるなら一考の必要アリです。

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【ご質問】
アクリルガッシュについて。印刷原稿や学校の美術教材向けのため、安価であることやコントロールしやすいことを主目的とした絵具のため、ファインアート作品としては耐久性が劣ります という情報をネット上で見ましたが、アクリラガッシュにつきましても同様でしょうか?顔料は上質との事ですが、耐久性を考えればアクリラを使うのが正解ですか?
【回答】
そのWeb情報は些か極端ですが、大なり小なりその傾向にあります。耐久性をお考えならアクリラガッシュよりもアクリラを考慮頂くのが宜しいかと存じます。

「印刷原稿」であることと「学校の美術教材向け」であることとは内容が全く異なります。 まず印刷原稿についてですが、印刷原稿(版下)は基本的に一過性の性格を帯びます。それだと耐久性原料は要求されません。
そして、画像取り込みとの関わりですが、光沢画面は写真撮影でもスキャナー取り込みでもハレーションを避け得ませんので多くの光沢原稿ではマットワニスを施したりして撮影します。
いちいちそれを考慮しなくてはいけないので、最初からマットな画面にすれば好都合です。かくて印刷原稿にはガッシュが好都合と云う訳です。
これらが相まって、デザインや印刷原稿に用いる特定のガッシュ色については耐久性を要求しなくてよい状況下にあり、メーカーによってはガッシュ群の中でデザイン群とファインアート群とを分けていたり、あるいは分別が面倒と一括りにしてデザイナーズガッシュと呼称したりしています。
その伝統をそのままアクリルガッシュが引き継いでいるのです。

「学校の美術教材向け」は意味が異なります。教材用だと絵画教育のみならず色彩教育にも関わるのでベタッとした画面の方が判りよい為、ガッシュ絵具が選択されます。そして「教材」で使う以上、その費用は生徒負担になり、従って安価なものが好ましく、また授業でさえ確認できればよいので、「安価で耐久性を問わない原料でも構わない」と云う理屈が成立します。
かくてガッシュ系絵具の原料にはその手の材料も使われる為、全体を平均すると通常のアクリル絵具の方がよい点数を取ることになります。

絵画の作品保存には画面強度が関わります。
画面強度の因子は固着材の質と量です。アクリル絵具だと、顔料の露出度の高いアクリルガッシュよりも、顔料のよく包まれた通常のアクリル絵具の方が丈夫な画面を構成します。逆に言えば「ガッシュ作品の方が耐久性に劣る」のです。

これらをいちいち斟酌しなくてはならないので、ファインアート作品には通常のアクリル絵具が使われるのです。
絵具メーカーはチューブに絵具の耐光性を何らかの形で表示していますから、それも手がかりになります。

追記 普段やっている方法についてもホルベインさんに確認してみた。
1.水多めで染み込む感じで彩色。
2.赤砥の粉でくすませる。
3.木材用ワックスでみがく。
方法的に問題無しを確認。ただし彩色後の乾燥を充分にとの事でした。
木材の乾燥度も含めてそこがポイントになりそうだ。

実はずっとリキテックス派だったが、ホルベインの好感度が上がったので、アクリラ本格導入予定。サポートは大事だ。

追記/以下の文章がホルベインの方の発言のように見えましたので修正します。

さらに、(先のツイッター)研究者の方の助言、「木彫作品の経年変化に馴染ませるため、定期的な保守や加筆を行うことを前提にして、アルキド樹脂、油絵具、漆を使うことなども良いかと思います。」も試したい。

なお、ホルベインの方の意見も追加します。

実は私共は、後年の加筆を適切とは考えていないのです。油彩画の基本鍵語のひとつに「投錨」があり、施した塗膜が下に浸透して一体化することを目的としています。ところがその「アルキド樹脂、油絵具、漆」はすべて乾燥後には他の物質に変化し(単分子が重合して高分子になり)がっちりした塗膜を構成してあらたな加筆を拒否しますので、後年の加筆を予定するならそれなりの処置をしておく必要があるのです。絵画作品では「仕上がり状態を保つように何らかの保護膜(保護層)を設ける」が通常の手だてです。絵画作品では後年「ここをこうすりゃもっとよくなるだろう」と加筆してよくなるためしがないのも理由のひとつだと思います。

この辺の考え方も、いろいろあって、絶対という事はなさそうだ。 ちなみに私は部分的な加筆はやらない方がいいと思っています。「劣化も作品のうち」じゃないかな?
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